とよく言われるが、まさしくその通り。どんなに努力しても結果を出さなければ、評価されないわけだから、市場から退場するしかない。
この格言に忠実なのかどうかわからないが、社内を流れる情報の多くは「結果」に過ぎないものが非常に多い、いやこの類いのものばかりである。
これだけ売れました、これだけ生産しました・・・・こういう情報をもとに、経営者や管理職はどう舵取りをすればいいのだろうか。まあ、せいぜい「これからも頑張ろう」ぐらいしか言えないだろう。終ってしまったことなんだから(笑)。
こういう情報ばかりでは、途中過程での適切なマネジメントができない。そこで私としては、途中過程を見える化するために、何らかの指標を設定しようとあれこれ工夫するわけである。
今回私が経験したのは、ある建設会社の工事物件に関するものだとしよう(事実をそのまま書けないのでちょっと脚色)。今までは成約した物件数字だけをカウントして、経営会議の資料として使っていた。私はこれでは足りないと思い、戸別ローラー活動なりチラシなりの件数と、電話による問合せ件数(レスポンス)件数を指標として設定した。これらの指標を常時明らかにすることで、途中の営業活動を見える化し、活動そのものの舵取りをしようと考えたのだ。まあ、BSC(バランススコアカード)でいうところの先行指標(KPI)というやつになる。
ところが、当該企業の社員が「先生、ビジネスは結果ですよ。途中いくら問合せ件数があっても成約に結びつかないと何にもなりませんよ」と意見を述べられた。つまり、この過程の数字なんかトレースしても意味がないんじゃない?というわけだ。
以前にも他の企業で同様のことを言われたことがあるので、ひょっとしたら「ビジネスは結果」という言葉がひとり歩きしている、というか曲解されているのではないかと感じた。
この社員さんには、結果に関する情報だけでは、評価は出来るけれど、マネジメントは手遅れになることが多く、有効な手だてを打つことが困難であること。過程を表すに過ぎない指標であっても、結果を生み出すことと相当の因果関係があれば、その指標はトレースするに十分値することを説明し、納得してもらった。
「ビジネスは結果、ただしマネジメントは過程」。ちょっと白黒はっきりつけ過ぎかもしれないけれど、まあこのくらいシンボリックな言葉が的を得ているのではないかな、と個人的には思っている。今度、機会があればこのスローガンを使ってみようか。